一ノ瀬からは、また舗装された道に戻る。一ノ瀬牧場では道から
すぐのところに牛が何頭か寝ている。バイクを止めると、めずらしいものでも
見るように大きな瞳をこちらに向ける。皮肉なことに牛達の目の前に
「バーベキューを楽しむ皆様へ・・」の立て看板。
雨がひどくなりそうな気がしたので、喫茶店でバイクを止め
リヤにくくったバッグからレインギアを取り出し店に入る
店の中では9月というのに暖炉を焚いているが、この寒さだし
さして驚かなかった。
「こんな天気はつづくものですか?」とウェイトレスの女の子に尋ねると
「あ、私はわからないのでちょっと待って下さい」とカウンターに座っている
女の人に「ママ・・・」と同じように尋ねてくれた。
「そうね、多分雨がひどくなるんじゃないかしら?場合によれば
山の方から晴れる場合もあるし」やはりレインギアを着て、外に出たら
けたたましい雨。
標高2700Mの地点に郵便局が設置されている、と本で読んだので
引き返さずに上まで行くことにする。
乗鞍高原からスカイラインで乗鞍岳へ、登れば登るほど雨がひどくなっていった。
「摩利支天」というバス停を見かけた、知り合いが、現在クルーをしている
日本のビッグボートのうちのひとつの名前だ。
「何の神様だったかしら?」と考えたが思い出せなかった。
(摩利支天・・日光を神としてあらわした武神)